創業シリーズ① 個人事業主の開業手続
事業を始めるには、必ずしも会社を作る必要はありません。個人事業主という形で、事業を興すという方法もあります。この個人事業主としての開業は、会社の設立に比べると手続が非常に簡単であり、すぐに事業を始めることができるというメリットがあります。では、個人事業主として事業を始めるに当たって、どのような手続きが必要となるかを解説いたします。
(1)開業届の提出
個人事業主として事業を行うにあたって、提出が義務付けられているのが開業届です。税務署に提出する書類でして、「個人事業の開業・廃業等届出書」という名前の1枚の紙面です。これに、「提出日」「氏名」「職業」「所得の種類」「事業の概要」「開業日」などを記載して提出します。
開業届の提出は義務付けられているものの、提出しないことに対する罰則がありません。それでも、開業届を提出することにより、後述の青色申告等のメリットがありますので、提出すべきものだとお考えいただければと思います。
(2)青色申告承認申請書の提出
青色申告とは、複式簿記の方法により会計記帳を行う申告方法のことをいいます。単式簿記の方法により会計記帳を行う白色申告と比較して手間は増えますが、その分、所得控除(納付する税金の額が減額される)などにおいて強力なメリットがあります。この青色申告を行っていく際に提出するのが、青色申告承認申請書です。
青色申告承認申請書は、「提出日」「氏名」「職業」「事業所等の名称」「所得の種類」「備付帳簿名」などを記載した1枚の紙面です。これを記載後、税務署に提出します。
(3)事業用の銀行口座の準備
必須ではありませんが、ほとんどのビジネスモデルにおいて銀行口座が必要になるかと思います。会社のような法人用口座を作る必要はありませんので、個人用の口座を開設し、事業のために使うものとして下さい。もちろん、今まで作った口座のうちいずれかを事業用として割り当てることも問題ありません。
重要なのは、事業用と生活用の口座を分けることです。もし事業用の口座から生活費の引き落としなどがされてしまうと、会計処理が面倒になったり、税務調査の際にもめる原因となったりします。
(4)事業用のクレジットカードの準備
これも必須ではありませんが、もし事業でクレジットカードを使うのであれば、引き落とし先を上記(3)の事業用の銀行口座とした新しいクレジットカードを作成することがおすすめです。
以上、個人事業主として事業を行っていく際に必要となる手続きを解説しました。ここで説明した4点は殆ど全ての個人事業主に必要となるステップですので、開業する際はぜひ参考にしていただければと思います。