創業シリーズ② 法人の設立手続
事業を始める上で、会社を設立するか否か悩まれている方も多いと思います。法人化せず個人事業主として開業する方が手間や費用が少なく事業を始めることができる反面、法人化には信用力など大きなメリットがあります。法人として事業を始める上での心理的障壁は手続きの煩雑さにあると思いますので、以下、法人設立の手続きについて解説をしてまいります。
(1)定款の作成・認証
法人を設立する上で最初にやらなければならないのが定款の作成です。定款とは会社のルールの事であり、「会社の商号」「会社の目的」「株式」「資本金」など、会社の基盤となる重要事項が記載されたものです。この定款を作成した後、公証役場において定款の認証を行います。定款さえしっかりと作成されていれば、認証自体は15分程度で終わります。
なお、定款には「絶対的記載事項」というものがあります。これは、その事項について記載しなければ定款全体が無効となってしまうものです。したがって、定款作成の際には最低限、絶対的記載事項を漏れなく記載することが大前提となります。絶対的記載事項には、以下の5つが挙げられます。
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所
(2)資本金の払い込み
次に、資本金の払い込みを行います。上記(1)の定款に記載した株主、出資の金額に沿って、預金口座への振り込みを行うこととなります。払い込みがされた部分の通帳のコピーは、下記(3)の登記において提出しなければなりません。なお、株主が代表取締役1人のみである場合などは、振り込みに代えて入金を行うだけでも問題ありません。
(3)登記
登記とは、ざっくりというならば、法人などに関する情報を公示するための手続きをいいます。上記(1)で作成した定款の内容などを法務局に申請することとなります。登記において必要となる書類等の一例を以下に記載します。
・登記申請書
・収入印紙
・設立時取締役選任及び本店所在場所決議書
・就任承諾書
・役員の印鑑証明書
・定款
・資本金の払い込みを証明する書面
・印鑑届出書
設立する会社の形態などによって、提出する書類は異なります。ご自分での申請が難しいという事であれば、司法書士等の専門家に登記の代理を依頼するという選択肢もあります。
以上の手続きを経て、会社が設立されます。個人事業主としての開業と比較し手間はかかりますが、資金調達や信用力の面から、会社設立の検討も視野に入れていただければと思います。