人事制度のよくある問題点とは?

 突然ですが、皆さんの会社の人事制度を最後に改定したのはいつでしょうか。10年前、20年前といったケースが多いのではないかと思います。また、設立当初から一度も見直しを行っていないという場合もあるかもしれません。人事制度は、時代、人員構成、事業などの変容によって、変えていかなければならないものです。今回は、人事制度を改定しなかった場合などに生ずることが多い問題点について解説していきます。

(1)等級数の過不足

 非常によくある問題が、この等級数の過不足です。例えば、設立当初は50人程度であったため等級数は4つ程度あれば十分だったが、社員数の増加により1等級あたりの人数が非常に増えてしまうというケースです。このようなケースでは、ほとんどの場合で「非管理職層のうち最高等級での滞留が大量に生じる」こととなります。例えば、1,2等級が非管理職、3,4等級が管理職というような設計の場合は、2等級の社員が大量に生じることになります。こうなってしまうと、当該社員の昇給がなくなったり、昇格(等級が上がること)のモチベーションがなくなったりするといった不具合が生じます。

(2)評価基準の陳腐化

 「社員の能力、業績、情意について、こういった部分を評価する」というような評価要素は、その時の会社が社員に対して求める能力や行動規範そのものです。例えば、会社が「社員には業務についての知識理解を十分に持って欲しい」と思っているのであれば、能力評価のうち知識理解の項目の配点が高いように評価基準が設計されるはずです。

 つまり、評価基準を長い間変えていないという事は、当時の会社の価値観がそのまま人事制度に残ってしまっているという事になります。社会情勢も大きく変わる中、数十年前と同じものを会社が社員に求めているケースは非常に稀です。したがって、評価基準を変えていない場合には、会社が社員に対して求めることと評価がちぐはぐになってしまっていることになります。

(3)青天井の賃金

 これは、賃金制度を「なんとなく」設計したような場合に生じます。賃金は、通常「2等級なら最高25万円まで」というように天井を設計するものですが、片手間で作成した人事制度などにはこのような上限の設定がないものがよくあります。このような場合には、勤続年数の長い社員が、非管理職であっても非常に給与が高くなり、場合によっては管理職の給与を超えてしまうような状態(いわゆる逆転現象)が生じてしまうのです。

 人事制度は定期的に改定することによって、はじめて有効に機能します。自社の改定が何年前だったか、問題は生じていないのか、ぜひ確認してみて下さい。

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