目標管理制度について
人事評価の代表的な要素には、能力評価、情意評価、業績評価などが挙げられます。この中でも評価しづらいのが業績評価です。一口に業績といっても、どこまで数字を出せば良い評価がつくのか、そもそも数字が出せない職種などはどのように評価すべきかなど、たくさんの懸念点があります。そこで、業績評価の1つの形態である目標管理制度について解説していきます。
(1)目標管理制度とは
目標管理制度(MBO)とは、個人毎に目標を設定し、その目標の達成度で評価を行うという制度をいいます(厳密には、目標管理制度と評価制度は必ずしも結びつきませんが、目標管理制度を導入する企業の殆どはその結果を評価に活用しています)。1950年代にドラッカーが発案したことでも有名です。現在では非常に多くの企業がこの目標管理制度を導入しています。
(2)目標管理の流れ
目標管理制度においては、まず期首などに従業員が目標管理シートを記入します。これを基に、目標設定は適切かどうかなどについて上司と面談を行い、目標を確定させます。 この目標の進捗度を期中など適宜確認し、期末において再度上司との面談を行い、目標達成度を確定させます。この達成度が業績評価となるのです。
ここで、目標管理制度において重要となるのが、目標の明確化です。上記の期首の目標設定においては、「何を」「いつまでに」「どういった方法で」「どれくらい」などヌケモレなく具体的に記載することを心がけます。この目標設定が曖昧だと、期末の目標達成度の確定において、どれだけ目標を達成できたのかが不明確となってしまうからです。
(3)目標管理制度の形骸化
目標管理制度は、その性質上運用に時間がかかります。特に中間管理職は、自分が受け持つ部下全員との面談を期首と期末(場合によっては期中も)に行わなければならないため、大変多くの時間と労力を要します。このような性質から、目標管理シートを社員に記入こそさせるものの、期中期末では面談などを特に行わず、評価結果のフィードバックもしないといった事態が生じやすいのです。これを、目標管理制度の形骸化と言います。
目標管理制度は、適切な従業員評価のため、従業員のモチベーション向上のためなど、大きなメリットがあります。一方で、なんとなく導入するだけでは形骸化を招きかねません。導入する目的、自社に合っているかなどをしっかりと考えた上で、活用して頂ければと思います。