従業員のモチベーション向上と会社業績について

 従業員のモチベーションは高い方が良いというのは、イメージとしては納得できると思います。しかし、なぜ高い方が良いのか、会社経営の面からどのような理由があるか考えたことはありますでしょうか。そこで、従業員のモチベーションと会社業績の関係について解説していきます。

(1)従業員のモチベーションと会社業績の関係

 下図をご覧ください。これは、ES(従業員満足度のこと。従業員のモチベーションに大きく影響する)と会社の営業利益率との関係を示したグラフです。

【ESと当期の営業利益率との相関性】
ESと利益率 グラフのプロットの近似曲線が、ゆるやかに右上へ向いているのが確認できます。つまり、個人差はあるものの、全体の傾向として、ESが上がるほど会社業績は高くなるということがいえるのです。言い換えると、「従業員のモチベーションが向上すると、会社業績は高くなる」ということが示唆されることになります。

(2)従業員のモチベーションと労働生産性の関係

 次に、従業員のモチベーションと会社業績の関係を、社員の働き方にフォーカスしてみていきたいと思います。下図は、ESと従業員の労働生産性(労働に関する効率のこと。後述)との関係を示したグラフです。

【ESと労働生産性(指数)との相関性】
ESと生産性 先程のグラフと同様に、近似曲線がゆるやかに右上へ向いているのが確認できます。ここで、労働生産性とは、従業員1人1人が生み出す付加価値を労働時間などで割ったものを指します。つまり、どれだけ効率よく価値を生み出せているかという指標になります。

 よって、このグラフより、ESが高くなるほど労働生産性が高くなる傾向がある、つまり「従業員のモチベーションが向上すると、従業員の仕事の能率も向上する」ということが示唆されるのです。

 従業員のモチベーションは、もちろん高いに越したことはありません。しかし、モチベーションを向上させるメリットにこのような会社業績や財務的な理由がなければ、意思決定者を説得するのが困難という場面もあることでしょう。

 従業員のモチベーションがどれだけ会社業績に影響を及ぼすのかについてしっかりと理解した上で、会社全体としてモチベーション調査や向上のための施策立案を行って頂ければと思います。

※グラフデータ出典:2018年9月18日 株式会社リンクアンドモチベーション「「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果」

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