事業計画書の策定

事業計画書とは

事業計画書は、目標を定め、そこに向けて事業をどのように進めていくのかを示したものです。事業計画書の内容は目的により多少異なりますが、概ね、現状分析を行ったうえで、経営方針に沿って事業戦略や人事・組織戦略、財務戦略など総合的な検討を行い、具体的な施策や行動計画に落とし込んだものを盛り込みます。

事業計画書は、経営者が掲げるビジョンや目標に向かうにあたって、日々の事業運営の道標になるものと言えます。

事業計画書を作成する目的

事業計画書を作成する目的は、大きく2つあります。

(1)事業運営の道標とする
・事業構想を明確にし、事業目標とその達成のための施策や行動を可視化して、事業運営の道標とします。
・施策の取組みや経営数値の実績を事業計画書と照らし合わせ、事業が計画通りに進捗しているか確認します。計画通りに進んでいない場合は、軌道修正したり、改善策を検討します。
・事業計画書にある事業目標や行動計画を社内で共有することにより、従業員の思考や行動のベクトルを合わせます。

ところで、現在はコロナ禍により日々の資金繰りに追われ、事業計画書どころではないというケースも多いと思います。確かにいまは極めて厳しい状況だと思います。正確な予測は誰にも立てられませんが、それでも計画が何もなければ、経営は羅針盤のない船のように風まかせ波まかせということになってしまいます。資金繰りの予測も立てられず、融資の相談もできません。

いまのように先行き不透明な中においては、精緻な事業計画書を作る必要はありませんが、現時点でわかっている情報と一定の前提条件のもとに売上利益計画を策定します。そして変数をいくつか決めておき、状況の変化に応じて計画を容易にシミュレーションできるようにしておくことで、事態の変化に応じた対策を取ることができます。

(2)外部に対する説明に使う
銀行に融資を依頼する際、返済能力に問題がないことを示す根拠として、また投資会社などに出資を依頼する際、事業の実現性や将来性があることを説明するために、事業計画書を作成します。

事業計画書の用途

事業計画書は、「社内向け」「銀行・投資会社向け(融資・出資)」 「創業計画書」 「補助金 申請用」「経営力向上計画・経営革新計画 申請用」などの用途で作成されます。(MECEな分類ではないことをご容赦ください)

【社内向け】
事業運営の道標とするために、社内向けに事業計画書を作成。
・事業目標設定、行動計画の可視化、従業員のベクトル合わせなどを行います。
・計画と実績の差を比較し、計画通りに進んでいない場合は、軌道修正したり、改善策・リカバリー策を検討します。またPDCAサイクルを回して、年間目標達成を目指します。

【銀行・投資会社向け(融資・出資)】
銀行に融資を依頼する際、返済能力に問題がないことを示す根拠として、事業計画書を作成します。
この場合、論理的に組み立てを行い、事業の実現可能性が高いと納得してもらえる内容であること、売上・利益計画や資金繰り計画の算出根拠が明確であることが重要で、それらによって返済能力があると示すことがポイントとなります。

また投資会社などに出資を依頼する際、事業の将来性があることを説明するために、事業計画書を作成します。この場合、売上・利益計画や資金繰り計画も重要ですが、ビジネスモデルがしっかりしていること、市場の成長性や事業のポテンシャル・将来性があることが重要で、それらによって投資に対するリターンが見込めると示すことがポイントとなります。

【創業計画書】
創業時に作成する事業計画書。事業構想を整理し事業運営の道標にもなるものですが、実際は、銀行からの融資や投資会社からの出資など資金調達のため、あるいは創業補助金の申請のために作成する場合が多いと思います。創業計画書の内容は、以下の例が参考になると思います。

 <創業計画書> ~内容の例~
① エグゼクティブ・サマリー(事業計画の要点まとめ)
② 創業の動機・経緯
③ 経営理念・ビジョン
④ 事業の概要
⑤ 業界/市場の動向
⑥ 事業内容、ビジネスモデル
⑦ 製品/サービスの特長と優位性
⑧ 課題と解決策
⑨ 財務計画、設備計画、人員計画、資金計画
⑩ 3年間程度の実行スケジュール

【補助金 申請用 事業計画書】
補助金とは、国や地方公共団体などから企業に給付されるお金のことで、国や地方公共団体などが政策を推進するにあたって、その政策目的に合った事業に取組んでもらう、あるいは取組みを一層推進してもらうために実施するものです。

補助金の給付を受けるためには、ほとんどの場合、事業計画書の作成が求められます。そのうえで申請を行い、審査に合格(採択)して初めて交付が決定しますので、簡単ではありませんが、給付された補助金は、基本的に返済が不要ですから、創業や事業拡大における資金調達の手段として非常に有効です。融資とうまく組み合わせて活用しましょう。

注意点としては、補助金が入金されるのは補助事業が完了し実績報告書を提出した後で、実際の支出から数か月後になります。その間、事業者が費用を立て替えることになりますので、その分の資金は確保しておく必要があります。

また、補助金ありきで事業計画を考えるのでは、本末転倒になってしまいます。事業展開の計画がまずあって、それを実現するために、目的にあった補助金をうまく活用する、という考え方が本来のあり方です。

<補助金等の種類>
※内容は変更になっている場合がありますので、最新情報および詳細は各補助金の公募要領をご確認ください。

➣中小企業の生産性向上を支援(中小企業生産性革命推進事業)

・ものづくり補助金

– 生産性向上につながる設備投資を補助、通年で3か月ごとに公募。
【一般型】補助上限:1,000万円、補助率:1/2(通常枠)、2/3(低感染リスク型ビジネス枠および小規模事業者)
– 付加価値額・給与支給総額の増加、最低賃金要件あり。

・小規模事業者持続化補助金

【一般型】販路開拓にかかる費用を補助、補助上限50万円 補助率2/3
【低感染リスク型】ポストコロナ社会に対応するビジネスモデルへの転換や感染防止対策費を補助、補助上限100万円、補助率3/4

・IT導入補助金

【通常枠】業務効率化や売上アップのためのITツール導入費用を補助、補助上限150/450万円、補助率1/2
【低感染リスク型】ポストコロナに対応するビジネスモデルへの転換を支援、補助上限150/450万円、補助率 2/3
– 登録のベンダー・ITサービスの中から選択。低感染リスク型は、PC等のレンタル費用も補助対象。

➣企業の思い切った事業再構築を支援(中小企業等事業再構築促進事業)

・事業再構築補助金

– 新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等のための設備投資を補助、2021年度は5回程度公募
【通常枠】補助上限6,000万円、補助率2/3(中小企業)
【緊急事態宣言特別枠】売上高30%以上減が要件、補助上限は従業員数により異なる、補助率3/4(中小企業)
– 事業再構築要件、売上高減少・付加価値額増加要件あり。認定経営革新等支援機関等と策定する。

【経営革新計画・経営力向上計画 申請用 事業計画書】
経営革新計画と経営力向上計画は、いずれも中小企業等経営強化法に基づいて中小企業庁が推進するもので、事業計画書(経営計画書)を策定し、計画が認定されると、税制面や資金調達において特例措置を受けることができます。

➣新たな事業活動に取り組む「経営革新計画」、基礎体力をつける「経営力向上計画」(中小企業等経営強化法)
※内容は変更になっている場合がありますので、最新情報および詳細は中小企業庁や都道府県(経営革新計画)のホームページなどをご確認ください。

・経営革新計画

– 新製品や新サービスなどの「新事業活動」に取り組み「経営の相当程度の向上」を図るとする中期的な経営計画書
– 計画の承認を受けると、保証・融資における優遇、ものづくり補助金の審査で加点されるなどのメリットあり

・経営力向上計画

– 人材育成、コスト管理のマネジメントの向上や設備投資等、事業者の経営力を向上させるための事業計画書
– 認定を受けると、税制措置や金融支援(保証・融資)などの支援を受けられるメリットあり

このような「課題」や「お悩み」をおもちではないですか?
✓事業計画書を策定して事業運営に活用したいが、事業計画書の作り方や活用方法がわからない。
✓売上や利益を成行きにまかせてしまっている。もう少し堅実な経営をして、経営改善を図りたい。
✓創業にあたり、頭の中に大まかな構想はあるが、創業計画書の形にする自信がない。
✓補助金を申請したいが、事業計画書の書き方がわからない。どう書けば採択の可能性が高まるかわからない。
▶▶▶ このような課題やお悩みの解決をご支援いたします

ご提供サービスの例

事業計画書策定の目的は、社内の事業運営の道標として活用する、あるいは融資を受けるため、補助金申請のため、創業計画書として、など様々だと思います。それぞれの目的に合った事業計画書の作成とその活用をご支援いたします。

01 事業計画書策定のご支援

➣社内向け事業計画書(年度ごとに作成)
事業運営の道標となるよう、経営層や各部署の責任者にも参画していただき、実効性のある事業計画書の作成をご支援いたします。30年に渡る事業計画書策定のノウハウをご提供いたします。

➣銀行・投資会社向け事業計画書(融資・出資)
銀行や投資会社の信頼を得て融資や出資という目的を達成できる事業計画書の作成をご支援いたします。

➣創業計画書
経営者の頭にある事業構想を可視化し、論理的に計画を組み立てます。事業運営の道標となり、銀行や投資会社に対して説得力のある創業計画書の作成をご支援いたします。

➣補助金等申請用の事業計画書
補助金は、実施する行政に必ず明確な補助事業目的があります。その目的や趣旨を汲み取り、かつ審査ポイントを踏まえることで、採択の可能性が高くなる事業計画書の作成をご支援いたします。

02 事業計画書を活用した経営管理の導入支援

社内向け事業計画書を活用した予算実績管理などの経営管理手法の導入をご支援いたします。事業計画書は、経営におけるPDCAサイクルの起点になるものです。月次ごとの売上利益計画や行動計画の進捗確認、年度ごとのレビューと課題の抽出、それらを踏まえた次年度の事業計画書策定というサイクルをパッケージでご支援いたします。

また従業員向けや対外的な「事業計画説明会」の実施支援サービス(説明資料作成支援+当日オペレーション)も行っています。


計画達成のための管理手法「予算実績管理」について紹介する動画です。

03 創業全般のご支援

単に創業計画書の作成に留まらず、経営理念づくりから事業構想、ビジネスモデル、経営の仕組みづくり、資金調達に至るまで、経営全般に渡ってご支援いたします。

04 補助金等の活用支援

目的や事情に見合った補助金等をご提案し、事業計画書の作成を中心に、申請までをご支援いたします。また補助金の活用が事業の発展につながるよう、ご要望に応じて、補助金獲得後の経営全般についてもご支援いたします。

【ご支援可能な補助金等】
ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金、経営革新計画、経営力向上計画、その他(創業補助金など)
※ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金の審査員経験あり。採択実績多数。

これらは、あくまで当社提供サービスの一例です。ほかにも、様々な課題に対応していますので、お気軽にご相談ください。