人事制度、知っておきたい3つの要素

 人事制度というと、どのようなものをイメージするでしょうか。非常に範囲が広いため、具体的なイメージが浮かばないという方も多いのではないかと思います。しかし、人事制度の核となる部分はたったの3つのみです。そこで、この人事制度について概要を解説していきます。

(1)人事制度の概要

 人事制度は、「等級制度」「評価制度」「賃金制度」の3つの要素で構成されます。図式化すると以下のようになります。

人事制度

 人事制度の細項目は、基本的に全てがこの3つのいずれかに属しているのです。それでは、それぞれの要素について考えます。

(2)等級制度

 等級制度とは、人事制度上における会社での社員の地位を規定する制度です。例えば、部長は偉い、一般社員は偉くない、というようなイメージがあるかと思いますが、これを制度として規定するのがこの等級制度です。例えば、「一般社員を1等級」「係長を2等級」「主任を3等級」「課長を4等級」「部長を5等級」というようにランク分けします。牛肉のA5ランクや、果物の秀ランクなどと全く同じ考え方です。

 実際には、このような等級分けをした後、それぞれの等級に求められる要素(等級基準)や、等級が上がる(昇格する)際の基準(昇格基準)などについても規定することとなります。

(3)評価制度

 評価制度は、文字通り社員を評価するための制度です。等級制度と比べるとイメージしやすいですよね。では、社員を評価する際、具体的にどんな部分を評価することになるのでしょうか。

 評価はおおまかに、「能力評価」「業績評価」「情意評価」に区分されます。それぞれ、保有能力の評価、出した結果の評価、やる気や勤勉さの評価です。これらの評価要素は全ての社員に均等に行われるのではなく、一般社員は情意評価をメインに、管理職は業績評価をメインに、というように等級ごとに評価の重点が変わります。さらに、実際には、例えば能力評価の中でも思考力、判断力、折衝力、知識理解など評価項目を細分化して基準を設計することとなります。

(4)賃金制度

 賃金制度は、等級制度で規定された社員の地位に対し、どれだけのお金を支払うかを決定するための制度です。最も簡単な例では、「1等級の社員は月給20万円」「2等級の社員は月給25万円」などといった形です。実際には、等級の中でも地位を細分化したり、評価によって賞与の金額が変わったりといったように、社員の能力や努力を反映するよう賃金制度が構築されます。

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