人事制度について知る ① 等級制度

 人事制度の柱となる3つの制度のうちの1つに、等級制度があります。他の2つの制度(評価制度・賃金制度)と比べると、その内容が言葉から想像しづらく、具体的にどんなものなのかイメージしづらいかもしれません。そこで、等級制度について代表的な制度などを挙げながら解説していきます。

(1)等級制度とは

 等級制度とは、人事制度上における会社での社員の地位を規定する制度です。例えば、皆さんの会社でも、「一般社員を1等級」「係長を2等級」「主任を3等級」「課長を4等級」「部長を5等級」のようなランク分けがされているかと思います。このようなランク分けのルールのことを等級制度というのです。
 ここで問題となるのが、どのような人が高いランクに、どのような人が低いランクに位置付けられるかです。等級制度においては、このようなランクを決定する上での考え方によって、「職能資格制度」と「職務等級制度」に分類されます。

(2)職能資格制度とは

 職能資格制度とは、等級を個々人が持つ能力によって規定する制度をいいます。つまり、能力が高い人は高い等級に、低い人は低い等級に位置付けられるということです。この職能資格制度は、戦後の日本において特に主流でした。というのも、能力というのは目に見えづらいため、「社歴が長い人ほど能力も高いだろう」との考え方から、等級が年功的になりやすく、年功序列制度を前提とする日本の人事制度に非常にマッチしたのです。
 もちろん、現在でも特に非管理職層を中心としてこの職能資格制度は広く使われています。一方で、この年功的になりやすいという職能資格制度のデメリットを解消する形で登場したのが、次に解説する職務等級制度です。

(3)職務等級制度とは

 職務等級制度とは、等級を個々人が担当する職務内容によって規定するという制度をいいます。例えば、Aの仕事をしている人は1等級、Bの仕事をしている人は2等級、といった具体です。この職務等級制度によれば、現在担当している仕事という客観的な指標により等級が決定されるため、年功的運用にならないのです。一方で、部署や受け持つ仕事が変化した時に、等級が下がってしまう(=給与が下がってしまう)ということがあり得るため、人事異動に制約が伴ってしまうというデメリットがあります。
 
 このように、等級制度にはそれぞれの特徴により一長一短があります。自社の風土や実態に合った人事制度を構築することが重要です。

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