人事制度について知る ③ 賃金制度

 人事制度の柱の1つに、賃金制度があります。シンプルにいうと支払う給与を決定するための制度ですが、この給与の金額はどのような形で決定されるのでしょか。今回は、賃金制度において、どのように支払額が決定されるのかなど、概要について解説します。

(1)賃金制度の概要

 賃金制度のキモはなんといっても支払賃金の決定です。賃金は、以下の要素に分解されます。賃金制度 上図のように、まず賃金は「月例賃金」「賞与」「退職金」に分解されます。月例賃金というのは、毎月支払われる賃金の事です。この月例賃金は、「基本給」と「諸手当」に分解されます。つまり、毎月支払われる賃金の中で最も重要となるのが、「基本給」となります。

 この基本給の決定には、「シングルレート」「等級号俸制」という2つの代表的な仕組みがあります。

(2)シングルレートによる基本給の決定

 シングルレートとは、1等級なら20万円、2等級なら25万円、というように、1つの等級に対して1つの基本給の金額が決定される仕組みのことをいいます。非常にシンプルで社員の方にとっても分かりやすいですが、柔軟な賃金の設定という面からすると劣ることになります。
そこで、シングルレートより柔軟に賃金の設定ができるのが、等級号俸制です。

(3)等級号俸制による基本給の決定

 等級号俸制とは、1つの等級を細分化し、細分化した1つの単位ごとに基本給が決定される仕組みのことをいいます。例えば、1つの等級を1号~20号というように20個に区切り、1等級1号なら20万円、1等級2号なら20.1万円、…、1等級20号なら22万円、というような形で基本給を決定するイメージです。等級号俸制を採用している企業は多く、公務員の給与体系はほぼすべてがこの等級号俸制によって行われています。

 等級号俸制のメリットは、柔軟な賃金設定ができることに加え、等級が上がらなくても(昇格しなくても)給与が上がることです。一般社員からすると、主任や係長などにならないと給与が上がらない体系(シングルレート)というのは勤続意欲の低下につながります。等級号俸制なら、一般社員のままでも、毎年の評価によって号俸が大きくなり、給与が上がることとなります。

 このように、賃金制度の設計においては、会社として人件費をどれだけ支給するのかという点だけでなく、社員のモチベーションなども考慮することが重要だといえます。

Previous post人事制度について知る ② 評価制度 Next postなぜ人事制度が必要か?