人事制度について知る ② 評価制度
人事制度の柱となる制度の1つに、評価制度があります。評価制度と聞くと、社員を評価するための制度だと大雑把なイメージがわきますが、実際にどのような軸を持って評価が行われるのでしょうか。この評価の要素について解説します。
(1)評価の要素
評価制度における評価の要素には、代表的なものとして「能力評価」「情意評価」「業績評価」が挙げられます。順番に解説していきます。
(2)能力評価
能力評価とは、社員が評価時点において有している能力を評価するというものです。評価時点とは、期末や中間を指します。例えば、思考力、判断力、折衝力、理解力などの各種能力について、その時点で社員がどれだけ優れているかを評価するというものです。
(3)情意評価
情意評価とは、評価期間において社員が有していた情意を評価するというものです。情意には、例えばやる気や規律性、コンプライアンスなどが含まれます。能力評価や業績評価と比べ、その社員の人間性を評価するという側面が非常に強いといえます。また、先ほどの能力評価と違い、ある期間における社員の結果を評価するという点に特徴があります。
(4)業績評価
業績評価とは、評価期間において社員が上げた業績を評価するというものです。例えば、一年や半年の間に、営業の社員がどれだけ予算を達成したか、新規顧客を開拓したかなどを基に評価が行われます。業績評価も情意評価と同様に、ある期間における社員の結果を評価するという点に特徴があります。
(5)評価の配点
先ほど説明した3つの評価の要素については、等級(役職)によりその配点が大きく異なるのが一般的です。例えば、以下のような配点となります。
このように、一般的には、非管理職層は能力評価の配点が高く、業績評価の配点が低い。管理職層は業績評価の配点が高く、能力評価の配点が低い。というような傾向にあります。これは、非管理職層に求められることは能力の研鑽であり、管理職層に求められることは結果だからです。
つまり、ここから言えることとして、評価制度の「評価要素」や「配点」は、社員を評価するものさしであると同時に、社員に対してどのように働いて欲しいかを伝えるメッセージなのです。
ご自分の会社の評価制度を設計・修正する際は、ぜひ、社員にどのように働いて欲しいのか、育って欲しいのかを考え、それに沿った評価要素と配点を設計するよう心がけて頂ければと思います。